車椅子バスケットボールの歴史・規則・発展

12組6番 河野 洋紀

【目的】

 漫画家井上雄彦の作品に車椅子バスケットボールを題材にした『REAL』という漫画が現在、連載されている。この作品のヒットにより世間に車椅子バスケの認知度は高まり、車椅子バスケの存在に興味を持つ人は少なくない。しかし、今日の日本において車椅子バスケは発展したスポーツであるとは言い難い。本研究では車椅子バスケの歴史、車椅子バスケのルール・規則、世界の車椅子バスケへの取り組みについて紹介していく事で車椅子バスケのスポーツとしての発展のために必要な事とは何であるのか論じていく。

【各章の概要】

第一章 障害者スポーツの歴史、誕生の背景
 人間は運動を行うことで身体の生理機能・体力を維持している。障害者のとっての運動活動とリハビリテーションには残存機能の向上、使いすぎ症候群の予防などがあり、また機能回復・訓練の為だけでなく社会性・自立性の確立、障害者が人間らしく生きる権利の回復を意味するものでもある。
 車椅子スポーツは第二次世界大戦後、米英両国でリハビリテーションの一環として普及・発展し、1949年には全米車椅子バスケットボール連盟も設立され、全世界でさらなる発展に至った。

第二章 規則・ルール
 車椅子バスケの主な規則・ルールは一般のバスケットボールと相違はない。しかし、障害者スポーツ特有の規則として「クラス分け制度」がある。各選手には障害の重度を表す点数が1.0~4.5まで設定され、障害が重い選手ほど点数が低くなる。試合出場選手5人の総点数が14点以内でなければ試合は開始できない。また、車椅子バスケ選手より重い障害を持つ選手は車椅子ツインバスケットボールという比較的運動量の少ない競技も存在し、全国的に普及している。

第三章 車椅子バスケへの取り組み
 第二次世界大戦後、リハビリテーションの一環として開催された障害者スポーツ大会が現在のパラリンピックの原点であるといわれている。車椅子バスケはその中でも最も観客動員の多い人気スポーツであり、国内では1975年に『日本車椅子バスケットボール連盟』が設立された。

【結論】

 日本において車椅子バスケはまだ発展途上である。米国やヨーロッパにはプロリーグが存在し、日本とは練習環境も異なる。日本車椅子バスケが今後発展してくためには「人々の認知」が最重要である。障害の有無に関わらず興味・関心を持ち、障害者スポーツに取り組む環境を作っていくことが車椅子バスケの発展に繋がる。

【主要参考文献】

・矢部京之助・草野勝彦・中田英雄(2004) 『アダプテッド・スポーツの科学;障害者・高齢者のスポーツ実践のための理論』
・日本車椅子バスケットボール連盟(2009)『車椅子バスケットボール 競技規則書』