未来のための高校野球改革

経済学科 32組1番 一色 大

【序論(目的)】

 私は幼い頃から野球を始め、全国高等学校野球選手権大会(以下、夏の甲子園)を目指した高校球児であった。私と同じように甲子園を目指した高校球児は数多くいることだろう。また、高校スポーツの全国大会の中で、甲子園は最もメディアに注目されている大会である。今日の高校野球は単なる高校生による青春のスポーツではなくなってきているのではないかと考える。メディアの取り上げ、学校側のスポーツ推薦枠といったビジネス的要因が多々見受けられるのである。私はそれらの一番の原因は、高校野球があまりにも人気のある「イベント化」していることだと考える。私は本研究から、高校野球の人気の秘密、過去から現代までにどのような変化があったのか、これからの高校野球はどうなっていくべきなのかを明らかにしたいと思う。

【各章の概要】

第1章 高校野球とは
 甲子園の歴史や大会規定について触れる。夏の甲子園とは、朝日新聞社と日本高等学校野球連盟の主催で、毎年8月に兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で行われる日本の高校野球大会であり、学生スポーツ及び国内アマチュアスポーツ最大の大会である。5年に1度(下1桁が0と5の回)は記念大会として実施されている。大会旗および優勝旗の色は赤で、優勝旗はその色から、「深紅の大優勝旗」と呼ばれている。代表校は原則として各府県1校ずつだが、北海道は北北海道・南北海道で2つに分けた2校、東京都は東東京・西東京で2つに分けた2校となり合計で49校となる。

第2章 高校野球の名場面や伝説
 高校野球はこれまで何度も視聴率が40%を超えたことがある。このような試合は放映権を持つNHKだけでなく、他の民間放送でも特集が組まれている。ファンはなによりも、筋書きのないドラマ、高校生とは思えない能力を持った選手やチームに期待を寄せているのである。私が見てきた甲子園だけでも多くの名場面や名選手が誕生している。今章では甲子園で起こった名場面や伝説の中からいくつかを紹介していく。

第3章 高校野球の問題点
 高校野球は本来の魅力や目的から遠ざかってしまっている。高校野球が「イベント化」していることや学校側のビジネス、メディアによる過度の煽りなどが原因であると考えられる。これにより多くの高校生が被害を受けている。今章では、このような現代の高校野球の問題点を挙げていく。

第4章 今後の高校野球のための改革
 本論文で、大会の規定、高校野球の魅力、名場面、問題点などを多く上げてきたが、本章では私が考える今後の高校野球の在り方について論じていく。

【結論】

 現在の高校野球の見どころは、メディアが煽ってしまった偽物の現実、劣悪な環境で必死に戦う高校生の姿、規格外の能力を持つ打者や投手など、私が本論文で改善を求めてきたことばかりである。皮肉なことに、高校野球にふさわしくない事実が現在の高校野球の見どころになってしまっているのである。だからこそ、長年に渡ってこれらが問題視されながらも、うやむやにされてきてしまったのだろう。高校野球の本来の魅力は、見どころとは別である。見る者の楽しさより、野球する者の意義のほうが大切である。現在の高校野球は、見る者の楽しさを重視した、ビジネス的な視点で見られることが多くなってしまった。視聴率をとりたい高野連や、メディア、有望な選手や甲子園出場を宣伝したい学校や、クラブチームなど、ビジネスの絡んだ高校野球が目立ってしまっている。こうした状況を変えるために、私は高校野球の改革を考えたのである。目標は甲子園でもプロ野球でもなく、心技体を鍛え上げ、人を磨くことである。高校野球界全体がこのような意識を持つようになることが大切である。

【主要参考文献】

高校野球が危ない 小林信也 草思社 2007.8
甲子園が割れた日 : 松井秀喜5連続敬遠の真実 中村計 新潮社 2007.7
怪物たちの世代 矢崎良一 竹書房 2004.8
甲子園怪物列伝 小関順二 草思社 2006.8
はるかなる甲子園 栗山秀樹 日刊スポーツ 2010.11