国内エアラインとスポーツ

経済学科 16組19番 林 悟

【序論(目的)】

 2020年東京五輪開催が決定し、今後航空需要が高まることが予想される。それに伴い国内航空業界にとっては国際線収益を上げるための環境が整いつつある。そこで国内航空業界のこれまでの歩み、現状知ると共に、単なる交通インフラとしての役割だけでなくスポンサー等の形を通して航空会社がスポーツ界にどのように関わっているのかを明らかにすることを目的とする。

【各章の概要】

第一章
 国内の空輸事業や航空会社がどのような歩みをしてきたかについて記述している。国内の航空事業の幕開けは1951年、国営企業の日本航空株式会社が設立されたことによって始まる。1952年には民間企業として日本ヘリコプター株式会社(現全日本空輸株式会社)が設立され、「国際線の日本航空」「国内線の全日本空輸」として2強体制が出来上がっていく。その後1990年代に入るとスカイマークを始めとする低価格航空会社が登場したことにより、利用客の選択肢の幅が広がっていった。また近年注目を集めているLCCのルーツや現状についても述べている。

第二章
 航空会社各社の概要や最近の動向について記述した。全日空の国際線増便や、2010年に経営破たんを経験した日本航空が打ち出した新シート、スカイマークのA380キャンセルなど、航空会社の動向からは対外アピールと不安定さについてうかがい知ることができた。

第三章
 航空会社とスポーツの関わりについて記述した。スポーツに協賛する企業を取り巻く環境の厳しさが増す一方で、スポーツ協賛は企業にとって社会的貢献という好印象を与える一定のメリットももちろんある。特に一般消費者を取引相手とするB to C企業のほうがその好影響を受ける。そういった特性もあり、航空会社は積極的にスポーツ協賛へ乗り出している。その動きは国内エアラインだけでなく外資の航空会社も積極的に乗り出している。

【結論】

「空を使って人と物を運ぶ」という形で人々の生活を支えてきた航空会社は「インフラ」と呼ばれる業種ではあるが、その背景には人命を預かるが故の「安全」への不信感、そして「政治」との関係が常に付きまとってきた。1970年代の大量輸送時代を越え、一般消費者にとって随分身近なものにはなったが、依然外的要因からの影響は大きい。しかし、変化が激しい現代社会の中でも機材や路線などで個性と利益を追及しながらもひたすらに、安心や夢を届けようとする姿勢が航空会社各社にはあった。その道のりはここ100年程度だが、航空会社各社の奮闘は想像しても余るほどである。
 また、航空会社が広告媒体や、スポーツを通して社名をアピールすることには通常のBtoC企業とは異なった価値がある。現物を提供するメーカーとは違い旅客輸送という形で「サービス」を提供する航空会社にとって、サポーターに感動や夢など強い好意を与える「スポーツ」はスポンサーシップにおいて最もメリットがある。「印象や心象は良いに越したことはない」そんな航空会社のメリットと、スポーツの特性が今後よりマッチすることで両者が相乗効果で発展していくことを強く願う。

【主要参考文献】

・「LCC参入が国内航空産業に与える影響」-ISFJ日本政策学生会議
・「わが国におけるLCCの台頭と空港政策」-国土技術政策総合研究所
・「B2b企業のスポーツ協賛が『社名認知度』および『就職意向度』に与える影響について」
・「週刊エコノミスト2014年9月23日」毎日新聞社
・「月間AIR LINE」(2014年6月~12月号)イカロス出版
・「図解 ボーイング787 VS.エアバスA380」青木謙知著 講談社
・「みんなが知りたいLCCの疑問50」秋元俊二著 Softbank Creative
・「JAL再建の真実」町田徹著 講談社現代新書
その他
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