テニス漫画が競技に与える影響

経済学科 26組25番 長野 麻耶

【序論(目的)】

 日本を代表する文化の一つに、漫画があげられる。SUSHIなどと同様に、MANGAといえば世界でも通じる単語になったことから、世界中で愛されている様子がうかがえる。筆者自身幼いころから漫画が好きで、様々な作品を読んできた。その中でも「テニスの王子様」は私がテニスを始めるきっかけの一つとなった漫画であり、今回本論文ではスポーツ漫画、特にテニスを題材にした漫画やアニメがどのような影響を与えたかについて考察したいと思う。

【各章の概要】

第1章 テニスとはなにか
 第1章ではテニスというスポーツの起源や歴史と、日本にテニスが伝わってから現在までの日本テニス界の発展について述べている。テニスは11世紀頃地中海沿岸で貴族や僧侶の間で行われた屋内競技が期限と言われている。13世紀ごろからフランスを中心とするヨーロッパ各国でも行われるようになり、のちにイギリスでクリケット競技場の芝生でプレーする競技に発展しこれが今日のテニスの元祖というべきものになった。その後ロンドンのクラブによって第一回全英選手権大会(現在のウィンブルドンテニス大会)が企画されここから世界的なスポーツへと発展した。日本にはアメリカ人のリーランドによって伝えられたと言われている。用具の取得が輸入に頼らざるを得なかったため、日本独自のゴムボールを使用した軟式テニス(ソフトテニス)が誕生した。第二次世界大戦後、プロの登録が認められ日本テニス界の発展する契機となった。

第2章 日本のテニス漫画
 第2章では漫画の歴史から日本の漫画の発展について述べている。漫画の起源については諸説あるが、現在国宝として残されている『鳥獣人物戯画』もその一つとして捉えられる。その後鳥羽絵本など大衆に向けた作品が増え、明治期になるとヨーロッパの影響を受けて漫画雑誌が創刊されるなど、現在の漫画文化の元ができてくる。第二次世界大戦後には何度かのブームを経ながらストーリー物の比重を増大させていき、現在の漫画文化を作っていった。

第3章 子供とテニス漫画の影響
 第三章ではスポーツと子供の生活の関連性と、テニス漫画というジャンルに絞って、漫画がテニス界に与える影響について述べている。現在、「体力・運動能力調査」において、1985年頃をピークに子供たちの運動能力の低下傾向が続いているとの結果が出ている。子供たちが屋外で自由に身体を動かして遊べる場所や時間が極端に減り、小学生がテレビや漫画などのメディアに費やす時間が増えているとの結果も出ている。その一方で一部の子供たちは低年齢のうちから一つのスポーツを専門的に行うといった傾向もあり、子供の体力の二極化が起こっているといえる。専門的に一つのスポーツを行うきっかけは様々だが、一つにはスポーツ漫画の影響が考えられる。実際に松岡修造など、テニス漫画のファンを公言するプロ選手もいる。

【結論】

 日本のテニス人口は長期的な減少傾向にある。しかしこれはテニスだけに留まらず、他のスポーツについても言える。しかしテニスの定期的な実施者数は横ばいで推移しており、コアな愛好者は多い。テニス漫画は1960年代から現代にかけて途切れることなく誕生しており、テニスというスポーツの継続的な人気を伺うことができる。今後も新たに人気作が登場し、松岡修造のようにテニスを志す若者の背中を押していくに違いない。