スポーツ産業におけるスポーツツーリズム
~日本におけるスポーツツーリズムの推進~

経済学科 28組6番 大平 真衣

【序論(目的)】

 2010年5月、観光庁がスポーツ観光に関する推進方策について調査・検討を行うため、スポーツツーリズム推進連絡会議を開催、また、同年8月に発表された「スポーツ立国戦略」でも、スポーツツーリズムの振興が期待されている。このように、スポーツツーリズムは近年注目されている新しい産業カテゴリーとなっている。
 2020年東京オリンピック・パラリンピックが決定したことで、これからますますの発展が期待されるスポーツ産業において、なぜスポーツツーリズムが注目されているのかを考えていく。

【各章の概要】

第一章 スポーツ産業の歴史と現状
 日本においてスポーツ産業は、19世紀末に近代スポーツが導入され、学校や社会において定着するにつれて、次第に産業としての体をなしていった。明治期以降は、3つの伝統的領域(①スポーツ用品産業、②スポーツサービス・情報産業、③スポーツ施設・空間産業)が、それぞれ個別に発展をみせる。戦後の復興期から高度経済成長を経て、日本経済が本格的な発展をすると、3つの領域が拡大し互いに重なり、新しい複合領域が出現する。第一章では、それぞれの領域の発展、そして複合領域について詳しく述べている。

第二章 スポーツツーリズム推進の経緯と背景
 スポーツツーリズムの推進に関わる国の取り組みや戦略として、「観光立国」と「スポーツ立国戦略」について触れる。

第三章 スポーツツーリズム推進基本方針概要
 第三章では、「スポーツツーリズム推進基本方針」の要約を行っている。本方針は、2011年6月にスポーツツーリズム推進連絡会議において取りまとめられたもので、スポーツツーリズムが目指すべき姿、実証実験や調査の結果、重視すべき観点や推進の方向性などが示されている。推進に向けた基本的方向として、①魅せるスポーツコンテンツづくりとスポーツ観光まちづくり、②国際競技大会の積極的な招致・開催、③旅行商品化と情報発信の推進、④スポーツツーリズム人材の育成・活用、⑤オールジャパンのスポーツツーリズム推進連携組織(JSTA)の創設、という5つが挙げられている。

【結論】

 日本においてスポーツツーリズムが推進されているのは、その巨大なインパクトに大きな期待が寄せられているからである。
 スポーツツーリズムは、様々な産業領域が複合しているため、スポーツ産業内にとどまらず、多方面に影響を与えることができる。さらに、国際規模のスポーツイベントやキャンプ・合宿招致、インバウンドツーリズムなどによって、外国をも巻き込むことができる。そのため、大きな経済効果が見込めるのである。 
 また、スポーツ、ツーリズムはともに魅力的なものであるからこそ、経済効果を生むだけでなく、異文化交流や理解、地域振興、さらには震災復興にも貢献するものであると言える。
 このように、スポーツツーリズムには、様々なプラスの影響をもたらすことが期待できる。日本にとって良い風を吹かすことができるであろうスポーツツーリズムの推進は、大いに意義のあることだろう。

【主要参考文献】

・スポーツ産業論第五版 原田宗彦 杏林書院 2011年4月
・スポーツの歴史と文化 スポーツ史を学ぶ 新井博・榊原浩晃 道和書院 2012年10月
・スポーツツーリズム推進基本方針~スポーツで旅を楽しむ国・ニッポン~ スポーツツーリズム推進連絡会議 2011年6月