History of British Boating and Rowing”の翻訳
経済学科 23組1番 赤津 杏奈
【序論(目的)】
水上でボートに乗って、ある一定の距離をオールを使って漕ぎ、順位を競う。その発祥はイギリスであり、ボートレースは人々を魅了し、テムズ川以外にもイギリスのいたるところで行われるようになった。こういったスポーツとしての性格が現れる前の、娯楽や交通の手段として考えると、ボート競技は古代にまでその歴史をさかのぼることができる。本研究では、原書である「 History of British Boating and Rowing 」の翻訳を通して、ボートの発祥地であるイギリスのボート競技の歴史を学び、自身の理解を深めることを目的とする。
【各章の概要】
第1章 I. INTRODUCTION
イギリス人が人生の一部として生活の中で行っているアウトドア娯楽の数々は、それぞれが発祥までの長い独自の歴史を持っている。そのひとつは人類の最初のニーズとしての起源を持つものである。文明が進むにつれてこのニーズは自然への喜びと興奮、それらに伴う競争を理由に娯楽として生き残り、その中でもおそらく最も目立っていたのがボートであった。それが喜びと競争心を伴うこと、健康的な運動であること、そしてスキルと持久力の両方を必要とする競争力のある努力の手段だとして、ボートは多くの人々に愛され発展してきた。
第2章 XV. ROWING AT ETON COLLEGE
イートン・カレッジのすぐ近くを流れるテムズ川は、かならずや陸で遊ぶ少年たちを引き付ける力をもっていた。その中でも、圧倒的勝利を収めていたのがイートン校であった。当時はレースについてのルールは存在せず、追突や接触、ラダーの不調など、少々荒れたプレーもボートの楽しみのうちだとされた。ただ一つの目的とすれば、いかに早くいちばんでゴールするか、それだけであった。ここではイートン校の勝つためのオアーズマンシップについて述べる。
第3章 ヘンリー旅行
ヘンリーのテムズ川沿いに位置するRiver & Rowing Museum は、テムズ川とボートの歴史について興味深い展示のある博物館であった。ボートが現在の競技用の形になるまでは、長い過程があった。テムズ川においてタクシーの役割を担っていた時のボート、速すぎて廃版になったボートや初期のただの木の乗り物のようなボートなど、さまざまなボートを見ることができ、交通や生きる手段としての始まりから、スポーツとしての性格が現れて現在の形に至るまでの、ボートの長い歴史を感じることが出来た。
【結論】
イギリスのボートの歴史をさかのぼり、イギリスにおけるボート競技の形成の過程を学ぶことが出来た。回転ローロックやシートスライド構造、アウトリガーといった今日のボートには必要不可欠な構造が、イギリスによって発明されたことが分かった。またこの研究を通じて、イギリスにおけるオアーズマンシップはボートを漕ぐ技術のことであり精神的な意味を持たず、日本のオアーズマンシップとは考え方が異なるという見解を得た。
また、イギリス現地のクラブチームや博物館を訪問し、イギリスのボートの普及度合が大変高いことが分かった。日本でさらにボートを発展させるためにも、幅広い年層の人が気軽に楽しめる環境を創ることが必要だと考える