ナディア・コマネチ史~14歳の金メダリストの栄光と苦悩~

経済学科 27組12番 鈴木 悠

【序論(目的)】

 私は幼少期から体操競技をしており、ナディア・コマネチという選手を知っていた。しかし、14歳にしてオリンピックで金メダルを獲得したなどのメディアで取り上げられたような情報しか知らなかったのが事実である。そこで今回この研究においてナディア・コマネチを取り上げることによって、彼女の歴史や苦悩、成長を新たに知ることによって私なりに彼女の人生史を開拓していきたいと感じた。
 また、彼女にかかわった指導者や選手も調べ、どのようにして選手を育てていけばよいのか、精神的サポートがあったのかなど、将来私が指導者になった際などに役立てていきたいと思い本研究の目的とし、論文を進めていく。

【各章の概要】

第1章 ナディア・コマネチという少女
 ナディア・コマネチの幼少期、体操競技に出会ってから14歳という若さでオリンピックで金メダルを取るまでや彼女の恩師であるベラ・カロリーコーチとの信頼関係を取り上げた。第3項でコマネチの24時間を取り上げたが、小学生の時点で私たちが想像している以上に体操漬けの1日を送っており、それを楽しい、先生の期待に応えたいと感じているコマネチの精神力の強さを感じた。そしてベラ・カロリーコーチはコマネチにとって最高の指導者であると感じた。ベラコーチは選手の気持ちを的確に読み取った。選手が疲れているなと感じると面白くかつ演技の仕上げに必要なコンディショニングエクササイズにもなるゲームを次々に考えだした。楽しみと厳しい訓練と選手の強い欲求・個性をうまく生かし、さらに自身の欲求や個性も相まって、ベラコーチはいい演技をしたいという選手の熱意をあおり続けた。このことにおいて信頼から尊敬が生まれ、これこそがコーチ対選手のパートナーシップを成功させる絶対の条件であるということを学んだ。

第2章 ナディア・コマネチの復活
 ここでは、第1章においてベラコーチとの確執からコマネチが彼の指導下から外れ、選手として実力を失ってしまった後からの復活を取り上げている。コマネチはベラコーチをもう一度師事し、どんなにつらいトレーニングもベラコーチとともに乗り越えた。そこにおいて新たに選手としてコマネチが受け身だけではなく、自ら考えて行動する力や指導力も身に着けた。そして、コマネチが現役最後のオリンピックを迎える。成績は団体で金メダル、個人総合で銀メダルを獲得した。いかにコマネチの意志が強いのか、コーチを信頼することが大切であるのかを改めて感じた。

【結論】

 ナディア・コマネチという選手は、体操競技を心の底から愛していた。そのため幼少期から決められたメニューを淡々とこなし、先生が望む以上の努力を行っていた。体操競技は、一人ひとりの特徴がとても見られる競技である。技がダイナミックであり、大きく演技を行う者、表現力があり頭の先から足の先まで神経を行きわたらせる演技を行う者など、一瞬で観客を魅了することができる。そしてコマネチはこれらすべてを兼ねそなえた選手であった。これは、コマネチを理解していたベラコーチや指導において一切の妥協を許さないマルタコーチ、何より体操競技に対して上手になりたいと軸をしっかり持ち、自分に厳しく努力を怠らなかったコマネチ自身の才能であったと言える。
 私が生まれる前に起こった出来事を今回研究してきて、コマネチは栄光だけを見てきただけではなく挫折や苦悩も味わってきたことが分かった。今後、私が指導に当たる場合しっかりと選手の良さを見分け練習中は厳しく、練習後は優しくし飴と鞭をうまく使い分けていきたいと思った。そのためには選手に対し誠実に向き合い、選手を大事に扱っていくことが大事であると感じた。

【参考文献】

・ナディア・コマネチ著 鈴木淑美訳「コマネチ若きアスリートへの手紙」青土社 2004・グローリア・ミクロヴィッチ著 野口晶子訳「白い妖精コマネチ:奇跡の14歳 ナディア・コマネチ物語」恒文社 1976・ナディア・コマネチ著 佐瀬稔訳「白き舞:ナディア・コマネチ/パーフェクト真説」講談社 1982