パラリンピック大会の現状と課題

政治学科 5組13番 柴田 祥子

【序論(目的)】

 障害者スポーツ=パラリンピック大会という世間の考えは、今や一般的になってきている。しかしオリンピックという世界大会に比べて、パラリンピック大会という世界大会はあまりにも注目度が低いのではないだろうか。昔から思えばパラリンピック大会もメディアで取り上げられるようになったが、オリンピック大会と比較すると雲泥の差である。メディアに取り上げられないことにより、スポンサーがつきにくく、資金面の問題で競技に参加すること自体困難であるように思える。最近では、バリアフリーなど障害者に対しての配慮に変化がみられてきてはいるが、私達健常者は未だにパラリンピック大会に対しての関心が希薄である。
 また、障害を補うための補装具や障害の程度で分けるクラス分けなど、障害者スポーツには特有の公平に競技を行うための規則がある。しかし、勝利を得たいがために不正を行う選手が多く課題が山積みである。そこで、歴史や今ある問題点からパラリンピック大会の今後の課題を見出し、現状を理解することを目的とする。

【各章の概要】

第1章 パラリンピック大会について
第1章では、歴史を通し、パラリンピック大会の誕生や発展について触れる。イギリスのストーク・マンデビル病院の医師ルードウィッヒ・グットマンがスポーツを治療に用いたことから始まり、現在に至るまでの背景を述べる。

第2章 パラリンピック大会の問題点と課題
 第2章では、ドーピング問題、機具・障害偽装問題、クラス分けの問題など、パラリンピック大会が発展していくとともに浮かび上がってきた問題点について触れる。そして、その問題点をもとに今後の課題見出していく。

【結論】

パラリンピック大会の問題として挙げた、ドーピング、補装具、障害偽装の問題が発生する主な原因は資金難であると思う。オリンピック大会と同様に、パラリンピック大会もメダルを取れるかどうかで注目度が全く違う。つまり、メダルを取ればその選手や所属する国の名誉となることは当然であり、そしてさらに選手にスポンサーが付きやすくなったり、報奨金が貰えたりするなど、選手の競技環境や生活環境が大きく向上するのである。ドーピングや障害偽装の問題は、上記のようにスポンサーなど欲しさに不正を行ってしまうのであろう。
また、補装具の問題については、最先端のものはスポーツ医学や人間工学、機械工学、材料工学などを駆使してオーダーメード製作がなされていて、軽く、扱いやすく、体にフィットするようになっている。このため、これらの機具は高額になってしまう。このような機具を買えるのは経済的に豊かな選手のみであり、結果的に途上国よりも先進国の選手が有利になってしまいがちなのである。
これらの問題を解決するためには、まず資金難を解決するべきであろう。そのためには、多くの人の理解を得ることが最も近道であると思う。メディアで取り上げるなど認知度が上がれば、スポンサーがついたり、国の支援や補助金なども増えるに違いないと思う。また未来のパラリンピック大会選手の発掘、育成にも繋がり、ますます障害者スポーツは発展していくであろう。
クラス分けの問題については、私はパラリンピック大会の永遠の課題であると思う。障害やその程度は人それぞれ異なるため、公平に競技を行うためにはクラス分けは必要不可欠なものである。しかし、クラス数も多くなることから、メダルの価値が下がってしまう。公平性とメダルの価値どっちを取るかは賛否両論あると思うが、やはりスポーツという根本的なところから考えると、公平性を優先すべきなのではないだろうか。
パラリンピック大会とは、差別や偏見をなくすなど障害者の可能性の提示となり、選手自身のリハビリにもなり、身体と心の支えとなる大事な大会である。私自身、この意義を忘れず、理解者の一人になりたい。