乳幼児に対する運動指導の考察

経済学科 30組6番 岡本 典子

【序論(目的)】

 保育所はそこに通う乳幼児にとって生活の中心となっていることをアルバイトの経験より実感した。この経験から多くの乳幼児は日中のほとんどの時間を保育所で過ごし、親と過ごす時間と同じくらいの時間、もしくはそれよりも多くの時間を保育士や保育園に通う他の乳幼児と過ごすこととになる。従って保育士は親と同じように乳幼児を愛し、安心感を与えることのできる存在でなければならない。また誰よりも近くで乳幼児に接しているので、その成長をしっかりと把握し適切な関わり方が必要にもなってくる。
 これらを踏まえて多くの乳幼児にとって一日のほとんどを過ごす保育所における運動が乳幼児の成長に大きく影響を与えているのではないかと考え、今回卒業論文のテーマとすることにした。よって本論文では、保育の歴史から振り返り、保育園における役割を明らかにし、乳幼児が運動を楽しいと思えるような運動方法を見出すことを目的とする。

【各章の概要】

第1章 保育の歴史と現状
 家庭の育児に対して社会の手による保育が知れ渡るようになったのは、今から200年以上も前とされる18世紀末から19世紀初頭である。産業革命による婦人労働の発生が育児を困難にし、放り出された乳幼児のために、フリードリッヒ・ヴィルヘルム・アウグスト・フレーベル(以下フレーベル)やマリア・モンテッソーリ(以下モンテッソーリ)などにより社会的保育施設が創り出された。資本制社会の歴史的発展の中で、女性の就業保障と児童保護の両面を持った保育施設は、国民生活に身近な施設として喜ばれ、急速に各国に広がっていった。
 日本では資本主義経済の発展の中で前近代的な家族制度が温存され、家族ぐるみによる伝統的な育児が残されてきた。しかし戦争が終わるにつれ女性が家族制度から解放され、育児の社会化とも言える保育が急速に発展し広まった。そこで本章では時代の変化とともに子どもに対する考え方、教育の在り方や保育方法が変化していくことを諸外国と日本の歴史を取り上げ、論じていくこととする。

第2章 保育所の役割
 第1章では保育という大きな枠の中でその保育に携わった有名人物や歴史について述べた。子どもを保育所に預ける親は、仕事などを含めて何らかの事情によって日中は子どもと過ごすことができない。保育所という場はそのような保護者の手助けをし、子どもの健全な心身の発達を図ることを目的としなければならない。またその目的を達成するため保育所では、保育に関する専門性を有した保育士が保護者と離れている時間、親の代わりとなるよう家庭との堅密な連携を図り、子どもの状況や発達過程を十分に踏まえ保育所における環境を通して養護及び教育を一体的の行うことを特性としている。そのことを踏まえて本章では、実際に保育を行っている保育所について取り上げる。保育所のある意義、社会的責任、保育の原理を述べ、その保育所で働く保育士がどうあるべきか論じていくこととする。

第3章 発達発育運動
 第2章の保育所のある意義の中で、子どもは何かできるようになった時一番に報告し見せたいのは親であると述べた。親も離れて過ごした時間の中で、日々子どもがどのようなことを体験し感じ成長しているのか知りたいはずである。そこで本章では、まず幼児期の運動、発達について詳しく述べ、親が子どもと楽しく行える運動を取り上げたい。この運動は、室内という狭いスペースを有効活用し、親子が離れている時間を埋められ子どもの成長を感じとれる運動であること、親と子どもがより近く、より仲良くなれ、子どもが親を独り占めできるような運動であることが重要だ。このことを第一に考えた結果、私は「親子ふれあい体操」を推進する。「親子ふれあい体操」とは、大人と子どもが1対1で何も道具を使わずに体を使って行う簡単な運動である。

【結論】

 保育の歴史を振り返ることにより、諸外国での保育の意義や保育方法に触れることで今日の日本の保育に多くのことが引き継がれ取り入れられている。近年、女性の社会進出が当たり前になり子どもと離れた時間を過ごす「保育所」での過ごし方に着目する中で、発育発達の成長が大きく見られる幼児期の子どもにとって、保育に携わる保育士の教育法は非常に重要であることが明らかになった。環境の変化により、乳幼児が運動を怠るようになった今日、保育士には子ども自身が運動と楽しく向き合えるような指導方法を提供するとともに、友だちと触れ合える授業を展開することが求められる。また運動能力の向上だけでなく遊び方を工夫する上で、知的面の成長や精神面の発達につなげたいと私は考え、本論文の結論とする。

【主要参考文献】

・保育の歴史 浦辺史 穴戸健夫 村山祐一 青木教育叢書 1981.4
・保育士試験合格講座 テキスト6保育原理 品川恵保 U-CAN
・今すぐ実践!小学生からの天才の育て方「ヨコミネ式」学童保育 横峯吉文 小学館 2010.6