ソフトボールの歴史と今後の課題

経済学科 16組2番 伊谷燎

【序論(目的)】

 私は小学生の時に野球を始め、高校から現在までの7年間、ソフトボールという競技に携わってきた。競技に関わる中で私自身、ソフトボールの歴史に関する知識がなく、ソフトボールという競技が野球やサッカーと比較しメディアに取り上げられないことに疑問を抱いていた。そこでこの卒業論文という機会にソフトボールの歴史を明らかにし、理解を深めたいと考えた。そして自らの知識や技術の向上に役立てることを本研究の目的とし、論文を進めていきたい。

【各章の概要】

第1章 ソフトボールについて
 ソフトボールは、今から100年以上前の1900年にアメリカのシカゴにおいて生まれたスポーツである。野球の盛んなアメリカにおいて、冬のシーズンオフに野球の形を崩さずに、野球のルールを使って室内でできる競技として考え出されたのが、今のソフトボールの前身である。
 日本におけるソフトボールは、1921(大正10)年に東京高等師範学校の教授であった大谷武一がアメリカ留学から持ち帰り、初めて導入したとされている。ルールやゲーム性が好まれ、ソフトボールは瞬く間に日本に普及した。

第2章 現代のソフトボール
 ソフトボールの国際組織は1949年10月16日に設立され、その名称をISF(International Softball Federation 国際ソフトボール連盟)とした。現在は、2012年のロンドンオリンピックから野球とともに正式種目から外れることを受け、五輪復帰を目的としてISFとIBAF(International Baseball Federation 国際野球連盟)の統合団体のWBSC(World Baseball Softball Confederation 世界野球ソフトボール連盟)が発足している。

第3章オリンピックにおけるソフトボール
 ソフトボールは、1991年の国際オリンピック委員会総会で採用が決定され、1996年のアトランタオリンピックから女子のみが正式種目となった。その後2012年のロンドンオリンピックで正式種目から除外されるまで2000年のシドニーオリンピック、2004年のアテネオリンピック、2008年の北京オリンピックの4大会で開催された。しかし、国際的な普及度の低さ、最高峰の選手の参加が期待できない事などから2012年ロンドンオリンピックの正式種目からの除外が決定され、現在も復帰には至っていない。

【結論】

 ソフトボールはいつメジャースポーツになるのか。これは簡単な問題ではない。ソフトボールが国際的に普及し、世界的に認知されるにはオリンピック正式種目への復帰が必要不可欠であるし、まだ数多くの問題がある。2008年北京オリンピックで女子ソフトボール日本代表が「上野の413球」で金メダルを獲得したことは認知されていても、2012年に行われた世界選手権で日本が42年ぶりに優勝し、2014年大会で2連覇を達成したことを知る人は少ないだろう。それほどオリンピックの力は大きいのである。
 2014年12月8日のIOC臨時総会において、「五輪アジェンダ2020」が審議されたことによって2020年東京オリンピックでソフトボールが復活実施される可能性が高まった。ソフトボールが日本だけでなく世界で更なる普及・発展を遂げるには、オリンピックへの競技復帰が一番の鍵となる。並列的に行われる野球と連携し、国際的に普及活動を行うことがソフトボールをメジャースポーツにするために必要である。私自身ソフトボールに携わり、競技に打ち込んできた身として、これからもソフトボールの魅力を多くの人に伝えていきたい。そしてソフトボールのオリンピック正式種目復帰、国際的な普及に向けてソフトボール界を応援していきたい。

【主要参考文献】

・最新スポーツ大事典(正編) 日本体育協会 大修館書店 1987年6月
・現代体育・スポーツ大系第23巻(野球・ソフトボール・ゴルフ・クリケット) 浅見俊雄・宮下充正・渡辺融 講談社 1984年6月
・コーチ学(ソフトボール編) 吉村正 逍遥書院 1979年6月
・ソフトボール 下奥信也 不昧堂書店 1961年1月
・宇津木魂 女子ソフトはなぜ金メダルが獲れたのか 宇津木妙子 文藝春秋 2008年10月